AQUA含め、所期から終盤まで秀逸なエピソード満載の本作だけれども、その肝は時々顔をのぞかせるどうしようもない切なさ、淋しさなんだと思う。もちろん基本的には「いい話」ぞろいなんだけれども、同時に、誰にもどうしようもない「移ろい」と「変化」を容赦なく描いている稀有な作品。たとえそれがどんなに幸せなことであっても、たとえそれがどんなに喜ばしいことであっても、「変わる」ということ「成長する」ということは、必ず何かしらを喪うことを意味する。それを踏まえて、終盤のエピソードは実に見事。傑作と言うほかない。過去の情景を想いながら、それに身を切られるような憧憬とノスタルジーを抱きながら、いまを生きることを選択する主人公たち。たとえ旧友に再開しようとも、「あの頃」を再び取り戻すことはできない。でもそれでも人間は進まねばならないのだし進む意味はあるのだ。必ず。たとえそのことで各人の抱くそれぞれのケット・シーに別れを告げることになろうとも。 そしてラスト。これまでとこれからの全てを内包する素晴らしいラスト。あれほどにこの作品のラストにふさわしい言葉はないに違いない・・・ 「ちょっと嬉しいだけだよ」・・・ |