バスケ漫画を書くにあたって、スラムダンクという絶対の存在とどう向き合うかというのは一つの課題だと思うのですが、この漫画の場合は主人公の空を現実のバスケ界ではありえない低身長に設定することで軸を違えて解決しようとし、それは一旦成功したかに思えました。
主人公は、劇中で当初描かれたエピソード群から察するに明らかな天才。で、その彼が前向きに頑張ってヤンキーたちを仲間に引き入れ、その中には天才と言っていい人たちも混ざってて、徐々に上に上がってく物語・・・だったようなんですが、現在上に行くことを作者自ら否定し始めました。劇中の地区予選での大事な試合の中でそれは起こっていきました。
恐らく作者は、実際に長いこと部活でバスケやっていたんだと思います。(←コミックスあとがきにて、作者自身により否定されました。バスケを部活でやったことは無いそうです。20080613加筆)バスケの練習はそりゃあきついもので、始めてちょっとやそっとの人間がどんだけ頑張ろうとも追いつけるような生易しいもんではない、って作者自身が強く思い始めてしまったのかもしれません。それこそ小学校あたりから積み重ねてきた経験とか、そこに至る血のにじむような努力が、才能と少しの期間の努力で否定されちゃうことを作者自身が拒否してしまった感があります。
そして、作者はそれを、劇中の引退した3年生に台詞としてはっきり言わせてしまいます。その台詞は、主人公たちとその設定を殺してしまいました。
かくてその試合は負け、その試合後に病弱だった主人公の母親が亡くなり、元ヤンキーだった部員たちは部室で拗ねてるうちにタバコの不始末(劇中では正確なところは不明になってはいる)で部室を燃やしてしまい、結果として部は廃部になりました。
なんというか、どんどん追い込んじゃってて、正直作者がどうしたいのか今ひとつわかりません。主人公たちを描くことを作者がなんだか前向きになれてないような印象さえ受けます。
それに反し超名門校、要は「膨大な量の練習の積み重ねを強く強く肯定する集団」を描くとき、作者が嬉々としているのが伝わってくるようです。
今現在週刊連載の方では部復活の前段階である同好会発足の為の賭け試合をやってます。でもその地域最強の学校を相手に持ってきて、もう青息吐息。それこそここで勝ったり、いい結果が残せてしまったら、ここまで描いてきたこととこれまでの伏線が微妙にズレてしまうし、どう収めても若干のしこりというか、読み辛さが残ってしまう気がします。
ちょっと迷走気味でしょうか。今後の展開に期待です。 |